筆の原毛について  ???オロンピー??? みなせトップへ 筆トップヘ
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貂(てん) 猪 ( 豚 ?) 化学繊維/ポリアミド繊維(ナイロン) 筆の実  兼毫??  

オロンピー オロンピーとは??? どんな動物なのだ???、 と 問う私。
WEBの一部ページで「狸の一種」「イタチの一種」と紹介されるオロンピー。
筆職人として、特に「狸」「鼬(イタチ)」・・・、の筆を数多く作ってきた私山口。
筆原毛のひとつとされる、オロンピーなる動物を知りません。判りません。
調べても調べても、さがしてもさがしても≪オロンピー≫はWEBページの一部にしか現れず、
これを説明するWEBの出典を辿れば、いずれもがほぼ同じ所へ戻ってしまいます。
 
私がオロンピーの本当の姿を、正体を、一番知りたい一人かも知れません。
オロンピー
ある時点から突然“筆の原毛”として喧伝され使用され出した≪オロンピー≫なる名、そして≪コリンスキー≫の名。
≪オロンピー≫、との原毛名を使用する製筆者の一部はオロンピーは「狸」の一種とし、又ある者は「イタチ」の一種とします。
そして「オロンピーの画像」と称するページや「オロンピーは※※※(≒テレビ番組)で紹介された・・・」と紹介するページがWEBに掲載されています。
が、掲載される画像の動物がなぜオロンピーなる動物なのか、を含む出典等々は不明です。
また、以前より随分と増えたオロンーピーに関するWEBページですが、「オロンピーとは」と案内される各頁のリンクの先を・・・辿れば辿るほど≪筆≫、または≪筆の原毛≫の紹介と同じ出典と思える説明と画像、またはURLに行き着きます。
これらWEBの出典、利用の流れを遡っていくとき「オロンピー」の名の発生元は「一部の関係者」に辿り着きそれ以外から見つけることは困難です。
一般の生活圏は無論のこと、多様な専門分野のいずれにおきましても特定の動物種類として≪オロンピー≫の名を見られるのはこの業界の一部とその販売ルート、及びこれらの影響を受けたのではないか、と考えられるWEBページに限られます。
WEBで見つけました「オロンピー」掲載のひとつ。
この掲載者様は「オロンピー」は「パーミー:pahmiで中国から入って来ます」と記され、その出典一覧表へのリンクを示されています。
リンク先は「毛皮屋様」で、パーミーに関する掲載は≪パーミーPahmi Melogale moschata Gray 中国イタチアナグマ≫です。
が、ここで紹介する「パーミーPahmi Melogale moschata Gray 中国イタチアナグマ」とオロンピーの関連性はおろか「オロンピー」の名前さえ見つけられません。
中国語のオロンピーとは「≪パーミー=中国イタチアナグマ≫」である、とされる方のご意見が正解であるとした時、
≪パーミー≫、或いは ≪中国イタチアナグマ≫と世に通じ誰もが納得する名がある動物種の名使用せず、他では見ること、聞くことのないオロンピーを、なぜわざわざ使用するのか、と、再度考えてしまいます。

オロンピーの名を使用する彼らの間ではオロンピーが「狸」なのか、「鼬」なのか、属する動物科の意見が分かれているようです。
そして「狸」は「イヌ科タヌキ属」、「鼬」は「イタチ科 イタチ属 」です。毛の状態には大きな差があります。
製筆関係者の間で「鼬(イタチ)」と「狸」はとても判りやすくその原毛差歴然としています。そして、製筆者でなくても二者を見ればその差は明らかですぐ区分けできます。何故「タヌキ」「イタチ」に意見が分かれているのか、判りません。

オロンピーがなんであるにしましても、その原毛をオロンピーと名付けた業界の、最初は一部の製造者とその販路のみで通用し、やがてその筆が高く売れることも要因のひとつで徐々に書とその業界の世界でオロンピーの名は広がり、現在は更に広がっている様子です。が、≪オロンピー≫の呼び名の元は、どこかの地方での方言でしょうか。或いはどこか特定の国での呼び方なのでしょうか。繰り返しての疑問が生じます。
最近⇒2015年7月ころ、ウエブ検索でオロンピーを引くと「猸子尾」との表示箇所に行き着けるようになり、この頁から「DRESSED PAHMI TAIL 猸子尾把毛」と説明する中国の頁だと思えるWEBページ
http://www.dictall.com/indu51/29/51294678B06.htm」にたどりつけるURLがアップされました。
中国のWEBページだと思えるこの頁で猸子尾毛は pahmi tail hair と掲載されていますので、これに従いオロンピー イコール パーミーであるとの理解をすればオロンピーは猸子尾毛であり、パーミーあり、そして「アナグマ」で≪イタチ科≫に属す、と言う事になります。

以下は≪コリンスキー≫
毛皮の世界で広く知られる高級イタチ毛皮「コリンスキー」。
高級毛皮としての「コリンスキー」は多くの人の耳に馴染んでいます。
書道筆の製筆業界で≪北狼毫≫と呼ばれてきた、そしてかつては≪支那鼬≫とも呼ばれていた「鼬(イタチ)」の筆原毛。
≪支那鼬≫とは呼ばなくなって久しくなりますが、≪北狼毫≫は今もそう呼ぶのが主流の「鼬(イタチ)」の中の高級鼬。
呼び方がいずれであっても中国北方の高品質な≪鼬≫でありこれを原毛とした幾多のイタチ筆があります。
北狼毫を用いた筆は高品質な鼬毛を使用した筆の中でも高級筆として親しまれてきました。
この北狼毫は中国北方に棲むイタチの一種で、数ある鼬種の中でも筆原毛の鼬として最高級品との評価の下、古来より使用されてきました。
オロンピーが筆原毛の名として使用され出す少し前、高級毛皮を代表する呼び方、そして筆原毛としては使用されることのなかった呼び方≪コリンスキー≫が、突然「北狼毫」を含む一定レベル以上の鼬筆の原毛名に与えられました。
永年「北狼毫」と親しまれてきた鼬原毛を、そして製筆業界で使用されることのなかった呼び名「コリンスキー」の原毛名を以て販路にのせた製造者・販路は、コリンスキーは「鼬」ではなく「高級鼬」である。と、少しスッキリとしない説明をつけ≪高値≫を設定しました。
その宣伝の巧みさもあり高価にもかかわらずよく売れた様子で、瞬く間に伝統的な筆原毛名「鼬」、鼬の中の「北狼毫」を「コリンスキー」と変更し販売する流れが広がりました。

ウィキペディアでは
≪筆の分野では、特にシベリア等北部に生息する Mustela sibirica を コリンスキーレッドセーブル、コリンスキーセーブル、レッドセーブル、シベリアンファイアセーブルと呼び、雄の尾毛は、画筆や書筆の高級原毛として使われる(注:筆原毛として使用される鼬毛は全て“尾毛”です)。弾力がありしなやかで、揃いが良く、高価である。独特の「粘り」があり、使い込む程に「味」が出る。普通、日本産イタチのみならず中国産イタチと区別する。俗にコリンスキーと呼ぶ。同じブランドに「コリンスキー レッド セーブル」(或いは、コリンスキー)と「レッド セーブル」がある場合、前者が高品位で高価である。他方で、雌の尾毛を画筆に採用している業者も存在する。中国では、原毛はイタチの尾毛の筆は’狼豪’と呼ぶ。これはチョウセンイタチの中国名は'黄鼠狼’からの呼称である。」とします(以上≪≫内ウィキペディア)≫。
ウィキペディアを離れ、私の中国製筆界との付き合いや筆職人としての経験から、中国製筆界(製筆業界以外は不詳です)で日本語の「鼬イタチ」を意味する言葉は「※※狼」であり多くの「※※狼」があります。その多くの※※狼のうち中国製筆業界が認識する「黄鼠狼」はイコール「日本鼬」です。ウィキペディア掲載の≪チョウセンイタチの中国名は'黄鼠狼’≫は今ひとつその意味の方向が掴めません。「黄鼠狼=日本鼬」は筆原毛としての鼬毛全体の中で≪短毛。弾性は中程度≫です。
また、産地を問わず雄鼬の方が雌鼬より毛足が長く弾性も上です。
  私は、中国で和筆の毛組を為した和筆下請け筆が完成、輸入も安定し本格化する前、20世紀がほぼ最終期にさしかかるその少し前までは北狼毫を頂点とする中国鼬の弾性への対抗策として日本鼬=黄鼠狼に「茶玉⇒茶色の猫毛」を混毛し北狼毫に負けぬ弾力の日本鼬=黄鼠狼筆を製筆していました。
中国北方で捕り使用される鼬のうち彼らが筆原毛≪鼬≫の最高級とし継続的に使用してきた「北狼毫」がコリンスキーに相当するものと考えられます。
「コリンスキー」: 
ウィキペディアで「コリンスキー」を引けば、先ずは「チョウセンイタチ」とする一括りの「Mustela sibirica」の中に入れられています。   
みなせ筆本舗  有馬筆筆司 山口琮一
 
化学繊維筆』  急速に変化し進化した≪化学繊維筆≫の数々
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