紙が枯れる(経時変化)  手漉紙の品むら みなせトップへ
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紙の「名前」??? 
 
紙が枯れる→→→古くなる・・・??? )   “紙の経時変化”
枯れた紙を使った方が良い結果が出る・・・・・
これは書・水墨画など「墨」を基調とするARTの世界で常に聞く言葉です。
“古い紙” / “枯れた紙” / “乾燥した紙”                   
  世間一般で言う「古い紙」と書画の世界で言う「古い紙=枯れた紙」とは紙に求める基本が異なります。
書画の世界で言う「枯れた紙」とは只単に古くなった紙を指すのではなく、
書画にとって重要な要素である「墨色=撥墨」「撥墨の立体感」「撥墨や線質の変化」をより冴えさせ、更に線質の切れを向上させる紙質に、熟成した紙質に変化していること。
これが「枯れた紙」に求められる条件で、それらを実現しえない古い紙は只単に「古い紙」であって「枯れた紙」とは言いません。
紙を枯らす=古く=するための保管に紙をビニール袋などに包み更に箱に入れるなどをし「大事に保管する」、
こうして時を経たものと「ごく普通の保管状態で時を経た紙」とを比較しますと、ごく普通に保管した紙の方が「枯れた紙」としては優れた状態になります。
「紙が枯れる」と「紙が乾燥する」による撥墨・線質の冴えなどには歴然とした差があるのです。
が、これらの違いによるアート表現の巾の階層を今ひとつ掴めず、掴めないから「枯れる」「乾燥する」は同一の、或いは似通った効果であると誤解しているのではないか、と思える例が多く見かけられます。
乾燥した紙は、只単に湿度が少なくなっているに過ぎず以下の「枯れた紙」の条件を満たし得ません。
古くなる⇒紙が枯れれば何故良くなるのか。
  紙が乾燥させただけでは紙の繊維密度は乾燥前と同一密度と言えるぐらいほとんど変わらず、「乾燥させる前の紙」「乾燥させた後の紙」二点間の紙密度差は極々僅かな差だけです。
「紙が枯れる」とは、時の流れに比例し紙に変化を与え続ける環境の変化⇒寒暖の差、湿度(しつど)差などの変化に伴い繰り返される紙の収縮、伸張。この僅かな収縮、伸張の繰り返しが紙繊維の絡みをより強固にし、紙密度を上げます。
更にこの繰り返しは紙面繊維の状態、筆に対する抵抗感の在り様を改善し最適な状況に整えます。
また、紙の繊維と繊維の“間”にある水分を追いだしただけの乾かした紙とは異なり「繊維そのものに含まれる水分」が減少します。
枯らすためには。
  紙を枯らすためにはごく自然な状況での寒暖、乾湿が繰り返される環境が一番良いのです。
早く枯れた紙を作ろうと人為的に過度の湿気を与えたり、乾燥させたり、冷やしたり、温めたりすることは紙繊維の絡みを複雑に粗くする、つまりは紙面抵抗感を粗く変化させてしまうので論外です。
逆に、「大事な紙だから」とビニール袋に入れたり、湿気に当ててはいけないと丁寧に箱に保管したりする。
これらで紙が悪くなることはありませんが、折角自然の環境変化の中で熟成していく紙の「経時変化」の邪魔をし、同じ「枯れた紙」の状態なるのに必要な時間をより長くさせている結果を招きます。
本物は、自然に逆らっては生まれない。これはここでも同じです。
これらによる紙の経時変化により、
「にじみ止めの加工紙」では得られない「墨を一定量吸い込みむ性質は残っているのに周辺への拡散は非常に少なくなる」、
「撥墨=墨色の現れ方と変化=が全体として良くなる」、
「紙面全体の立体感表現がより可能になる」、
紙面が筆にとって最適な状況になることで生まれる「線質の切れ」が良くなる
などのプラス面が数多く現れます。
  
手漉紙として避けられない品質のムラ
  品質(黒白、厚薄、紙密度、経時変化・・)の許容範囲
半紙・画仙紙など書画で使用する「墨を基調とするアートのための紙」は、
それが「手漉紙」である場合、
業界で通常許容される許容範囲、手漉紙が産業として一定の生産量、そして適切な範囲下での価格水準を維持するために避けられない製品差であると業界が許容する一定範囲下での品質差(※以下)と製造後の経時変化の差はご容赦下さい。
 ※ 手漉紙の一枚毎の厚薄・黒白
個々の紙漉き職人が手漉紙として同一品質(製品差を感じさせない)の紙を漉くことが出来る熟達の職人であったとしても、更に一種類の紙を同じ職人一人で漉くとしても、職人のその時々の体調差、製造時の自然環境=温度・湿度などによる紙の厚薄・黒白の差、・・・、そしてこれら諸要因により生じる紙の目の粗密差 & 自然産品である紙料自体の製造ロット差などによる製品差。
更には一つの紙種を製造するとしてもその生産が一定量を超える製品は複数の紙漉職人が従事します。加えて、紙の書き味、撥墨、線質共々に大きな影響をもたらす経時変化、これらにより同一とされる紙も許容範囲下での品質差を持ちます。これらの差はご容赦下さい。
 ※ 手漉紙の破れ・穴あき・・・・
手漉紙では、その大部分の実産地を中国に頼っていること、且つ伝統的に「穴あき」「破れ」を瑕疵とは見なさない用途に製紙する習慣を持つ中国一部産地もあり、更にはこれら産地の紙を、その紙質から重宝され書で使用する基本形⇒画仙紙規格に漉き書に使用されることなども加わり、
中国から直輸入され日本で販売される「中国手漉紙」「中国を下請けにした国産下請け紙」等々の「手漉紙」には多くの「破れ」「穴あき」が見られます。
これを日本国内で再検品、或いは台湾など一定の品質基準を理解した国に先ず中国から移動させ「品質基準を理解した検品」にて検査、日本で瑕疵とされるものを取り去った手漉紙を輸入する。があります。
これらの価格はそれなりに高くなり中国直輸入のまま販売する低価格とは異なる価格設定になります。

作品製作に多くの枚数を必要としないアートジャンルにおきましては、その検査料の加算による価格設定、つまりは中国産地価格に検査料等々の手数料を加えた高価格設定も問題にはされません。

しかし、書道というアートのジャンルでは「多くの枚数」を書き込まれる作家=書家が不断にあり、そして「数多く書き込むこと」が書の勉強のひとつでもあります。
ひとつの作品を仕上げるのに1000枚や2000枚、いやそれ以上の量の紙を費やされる書家が珍しい存在ではないアートの世界です。
これらにより多少の「破れ・穴あき・・・」があっても「検査等々によりこれらを除いた瑕疵のない製品」との価格差を考慮したとき「中国検品のまま」でよい、とされる書家の割合が圧倒的に多く、
書道専門店の弊社としましては「中国生産」「直輸入」「直輸入による低価格」にて発売することを旨としています。
書道界として概ね許容される範囲下の「破れ・穴あき・・・」「厚薄の差」「黒白の差」等々の瑕疵はご容赦下さい。
                                以上簡単ですが・・・・山口j一(山口そう一)
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