毛筆、筆頭の材料「原毛」について/筆原毛を学ぶ|筆匠みなせ筆本舗 みなせトップへ 筆トップヘ

狼=鼬(いたち) うさぎ 玉毛=猫 狸&狢(むじな) 鹿&山馬 羊毛(山羊)   オロンピー ?
貂(てん) 猪 ( 豚 ?) 化学繊維/ポリイミド繊維(ナイロン)/・・ 筆の実  兼毫??

 筆に使用される原毛 そして 原毛と筆造りの変遷
私(山口j一)が造くる(過去に製筆したものも含む)筆に使用する毛を中心に筆の原毛について、徐々にですが記していきたいと思います。
原毛の特性などは私が実際に製筆するとき使用した原毛に感じた感覚を基に記します。
私が手がけた筆種には偏りがありますので使用する原毛にも偏りが出来ます。毛の種類による内容量・質共に差が生じますがご容赦下さい。
また、100%中国から輸入されている羊毛。この筆原毛で言う「羊毛」とは「山羊の毛」で、それも長江流域で食用として飼育されいる「山羊」の毛です。
「食用として飼育されいる山羊」は、教義により摂取する動物肉は主として「山羊」である回教徒の食用として飼育されている山羊であり食肉の副産物が筆の貴重な原毛となっています。
そして羊毛の入手状況は中国からの輸入が100%で、又ほぼ100%輸入される他の原毛については中国の筆職人さん達や筆品質管理者の原毛の呼び方なども参考にして記していきます。
雑用が多く、これにあてる時間的余裕が余りありませんので、長く掛かると思いますが気長にお付き合い下さいますようお願いします。
筆原毛の基本と筆造りの概念です。
筆の原毛となるのは、何れの獣毛でも「綿毛= ワタ毛」を取り去ったあとの『烈 私が製筆する有馬筆の先輩職人達は「烈」と呼んでいました。正式な呼び方は《保護毛(刺毛)》とのことです)です。
原毛の種類により、その80%強が綿毛で筆として使える「裂⇒刺毛」は20%も残らない原毛種や、ほとんど綿毛のないものなど様々です。
それぞれの獣毛の特性などは上記「T:狼=鼬(いたち)」 〜 ・・ に入ってご覧下さい。

かつては、みなせに限らず筆屋は原毛の何れをも原毛商から仕入れ在庫し、それぞれの影響下・管理下にある筆職人たちに彼らが製筆の都度必要とする種類と量の原毛を与え筆作りを管理していました。
原毛商と筆・刷毛(刷子)など製造所との関係は深く、原毛商は納品先筆屋の職人構成を知り、その使用する毛の種類・量などを完全に把握し、毎年必要な種類と量の原毛を届けてくれました。

私が10歳(1953年)前後のころまでは、捕獲した動物の皮がついたままの原毛がそのまま一切手を加えられていない状態で入荷していました。
自宅仕事場前の庭先で、大鍋に湯を沸かし、それに少量の石灰を混ぜ、原毛商から届いた原毛を一昼夜弱火で炊き、原毛の油抜きの予備作業をしていました。
それも中学生になる頃には既に原毛商でそれらの予備作業を済ませた毛が入荷するようになっていました。
それぞれの動物の毛は薄皮が着いたまま、動物によってはこの薄皮からもはずされ毛だけになった状態で、あるいは尻尾そのものだけであっても、既に簡単な油ぬきを済ませ入荷するように変化していました。

今でも原毛商から仕入れた原毛を、更にキチンと油抜きをし、使うのが「たてまえ」と言えますが、
その一方で原産地段階での処理は更に進み、油抜きの作業を済ませるのは無論のこと、更に毛先まで揃え(筆工程のうちの“先寄せ”)、毛の束にした「束毛」と呼ばれる状態の原毛が中国から届くようになっています。この「束毛」は筆工程で言えば「寸切り」を済ませたのと同じ状態まで原毛が加工されている。つまりは工程の半分近くを済ませた状態で届くようになっているのです。
如何に毛を長いままで皮からはずすか
如何に傷少なく原毛の油抜きをこなせるかなどの基礎工程、そして根気のいる『先寄せ』工程で毛先を揃えながら余分な毛や、筆にするには適切でない毛を取り去るなどの筆造りの準備工程と言える前処理を必要としない状態で毛が届きます。
一定量の原毛から、筆として使える毛をどれだけ効率よく取り出すか。
そして、油ぬき、先寄せなどの基礎工程をどれだけ手早く、綺麗にこなせるか。
これら地道な基礎工程が重要な要素であった筆職人の腕の見せ所は、既に工程の半ばまで処理された原毛を用い、どの様な性質&品質の筆に仕立てるのか、に変わってきています。
コツコツと作業を繰り返す努力が筆の基礎を作っていた、その一連の基礎作業は既に原毛産地で処理が為されている。
その処理済みの原毛の様々を用い、どの様な書き味の筆にするかを決定づける毛組(格好づけ )を如何に適切に考えられるかがその職人の資質として重要視されるように変化してきたのです。
 「格好付け」:
 個々の職人がそれぞれの経験を基に、感性を最大限研ぎ澄まし今造ろうとする“筆の性格に応じた毛の種類とその組み合わせを決定する”筆造りの中で最も重要な部分です。筆造りの工程の中で『実作業』は伴わないが筆の優劣が鮮明になる最重要な部分なのです。

私もここ何年か原毛産地で基礎作業を済ませた原毛も使用していますので、灰で揉む油ぬき工程、それに続く先寄せ工程までの作業は昔ほど必要がなくなり、本来の製筆工程としては途中からの作業で筆が仕上がってしまう環境になっています。
「基礎段階処理済みの原毛」を用い、今造ろうとしている筆の性格に応じて
毛を選び(選毛工程)、
毛の長さを整えて切り(寸切り工程)、
そしてそれらが適材適所配置され本来の特性を発揮出来るように最も納得のいく毛の長さと毛量の配分を経験則に従って決定し((格好づけ工程)、
組み合わせ練り混ぜ(練り混ぜ工程)、
芯を立て(芯立て工程)、
上毛を着せる(上毛着せ工程)、
筆頭の根本を焼いて毛が抜けないように締め(お締め工程)、
適切な軸を選び軸の内径を筆頭の径に合わせくり抜き(繰り込み工程)、
筆頭と軸とを接着した後、
筆頭を布海苔(フノリ)に十分浸して形を整える(仕上げ工程)、
筆頭の布海苔が乾くのを待って「サヤ=キャップ」を被せる、「筆銘を彫刻する、あるいはレッテルを貼る
以上の工程で筆が出来ます。
製筆工程途中からの作業で要求される筆ができる環境に変わってきています。
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山口j一(山口そう一)  
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